AnotherVision Countdown Calendar 2020

AnotherVisionメンバーによる"Countdown Calendar"を2020年もお届けします

理想の公演音楽を作りたいんじゃ

初めまして!*1*2

8期*3のいべ*4(@iberico0602)*5といいます*6

今年の駒場祭持ち帰り#アケ_テではすごくない方のデザイン*7をやってました。

 

 

さて、世の中*8には音楽*9が好き*10な人、たくさんいる*11と思います*12。もちろん僕も音楽が好きな人間*13*14です。


この文章は、音楽好きの一人として、劇伴音楽に関するよしなしごとをそこはかとなく書いていく文章です*15。ただ、専門的な教育を受けた人間ではないので、学問的におかしい部分など、多数出てくることが予想されます。くれぐれも「○○の記事でいべが~~って言ってたから…」みたいな引用をする際には注意してください。逆にたくさん指摘をいただけると嬉しい気持ちになります*16

専門的な言葉とか、諸説ある表現は、出てきたら脚注します*17

本当はめっっっっっっちゃ脚注で遊びたかっ*18*19んですが、脚注としての機能が死ぬ*20ので、これ*21以降は真面目な脚注と、ちょっと真面目なお話になります*22

 

 

音って、すごいですよね。


音(音楽)って「聞く人」の心だけじゃなくて、「聞いてない人」の心をうごかすことができるところがすごいな、って思います。

実際、謎解き公演に来る人のほとんどは、音楽よりも目の前の謎や、キャストの起こす様々なイベントの方に集中している「聞いてない人」じゃないでしょうか。音楽なんかに集中している人、いないですよね。*23

 でも例えば、謎解き公演のことを思い出すとき

 

「そういえばあの公演、音楽良かったよね」

ってなること、ありませんか?

もしくは、公演のタイトルが思い出せなくて、もやもやしているときに

 

「なんかすごい時間ギリギリで、めっちゃ音楽に焦らされたやつ」

みたいな思い出し方をするときってありませんか?*24

 

音楽の一番すごいところって、こういう風に、サブリミナル的に感情に働きかけることができることだと思うんです。

 

そして、僕が好きなのは、こんな風に「後からじわじわくる」系の音楽なんです。

 

 理想の音楽

 

ちなみに、皆さんが想像する「すげえ曲」ってどんな曲ですか?*25

僕が最近「すげえなぁ」って思ったのは、崖の上のポニョの序盤で使用された「浦の町」っていう曲です。


浦の町

久石譲さんが公式で上げてるので、気兼ねなく聞いてください。

 

この曲の何がすごいって?(以下長文読み飛ばし推奨)

 

自然な変拍子*26とその効果的な利用がすごい

(なんだよ結局変わり種が好きなだけのミーハーかよ)*27

ポニョの舞台は日本のよくある港町です。某魔女とか某王蟲の世界は見るからにファンタジー*28なので、音楽もファンタジーにガン寄せできますが、ポニョの場合は日常に近いような安心感が求められます。他方、ポニョと関係を持つことのできる*29ファンタジー感や、映画館のわくわく感を表現する必要もあります。その難しいバランスを、久石譲変拍子っていう両刃の最新兵器で華麗に乗り越えたわけです。変拍子(とかヤバすぎるテンションコード)みたいに、「古典的な音楽になかった表現」は、一昔前まで、先進的な音楽を切り開いていく開拓者みたいな人たちが使うもの、みたいな印象だったのですが、ここ最近(5-10年)は大衆向けにその特徴を生かして表現していく方が増えているような印象があります。この曲が人に知られず、埋もれることができていることが、崖の上のポニョという作品のすごさでもあると思います。*30

 

ちなみに今の話聞いて、何か感じました?

世の中には、すげえ曲の「ここがすげえ」ってのを説明するのがすっげえ上手な人がいます。そういう人が曲のレヴューをしたりすると、その曲の、説明した人なりの「すげぇポイント」が、多くの人に共有されたりしますよね*31

例えば某「ゆ」から始まる配信者*32田中秀和さん*33の曲を紹介すると、田中秀和さんのコードワーク的な意味でのすっげえポイントが共有されます。こうすることで、初めて世間に「田中秀和の曲はいい」という認識が生まれます。

 

某Mマス絵師(音楽そんなに知らずの民)に「田中秀和の曲ってすごいらしいじゃん」みたいな話をされたときはめちゃくちゃビビりました。絵の才能あるやつは音楽の才能もあるんか…って絶望しかけました*34

 

 

んで、ここが結構議論になる気がするんですが

 

他人に気づかれない「すごい」って、意味あるん?

 

田中秀和も、「ゆ」が紹介するまでは一部のアニソン評論界隈くらいでしか、名前を聞いて「おっ!」ってなることはほぼありませんでした。(少なくとも僕の周囲では)*35

劇伴音楽を製作した作品の多くがヒットを飛ばしていたという事実は当時から存在していたにもかかわらず、本人が世間一般から大きく評価されたり、そのサントラが飛ぶように売れる、なんていうことはありませんでした*36

 

それでも、田中秀和が評価されるに至ったのは、彼の音楽が、コードワーク、という点で大きな特徴を持っているからだ、と僕は考えています。

某「ゆ」が「イ○○ギコード」などと汚らわしいネーミングをしている分数コードの一種をご存じでしょうか。当然僕はこの名前が嫌いです。しかしこの「○キス〇コード」という命名は、「このコードが来るとその前後がなんか気持ちいい」くらいの認識を多くの人間に共有し、田中秀和の音楽の魅力の一面を多くの人間に共有することに成功しました。それに伴い、「田中秀和はすごい」「田中秀和の曲だから聞いてみよう」という認識が広まり、僕の周囲では「田中秀和が劇伴しているからこのアニメを見よう」という人間まで現れました*37。彼の曲が作品に売上的な意味で直接的に貢献できたのは、彼の音楽は良い、という認識が共有されたからこそのものだ、とすら言うことすらできると思います。

 

では、僕が目指したい音楽に、一般人にも共有されるような特色はあるのでしょうか

無いです。

田中秀和のようなコード進行も、変拍子も、奇抜なメロディーラインも、極端なテンポや頻繁な転調も、基本的に作りたくないです。

どの要素も、外部の人間にすごさを語るときの伝わりやすい言葉にはなるのですが、後から浮かび上がってくるようなサブリミナル感に結び付けるには、あまりにも主張が強すぎて、僕の手に負えません。もし音楽を今後5年10年と作り続けることができるとしたら、そのころに作るかもしれないです。その程度です。

 

目立ちたくないけど、公演の価値を上げたい

音楽を公演の一部として製作するのならば、公演に「なくてはならないもの」でありたい。公演の体験価値を上げたい。この音楽のために来た、という人間を呼び寄せることができれば、公演に直接的にいい影響を与えたといえるから、最終的にはそうなれば嬉しい。

理想的なことをいうのであれば公演が終わった2時間後の

 

「そういえば、感想ツイートしてなかったな~」

 

ってなったタイミングで

 

「何が楽しかったんだろう…そういえば、音楽もよかったなぁ」

 

って思ってほしい。で、それを「めちゃくちゃ言語化がうまい人」に取り上げてもらって、そのおかげで公演の参加者が増えるような……そんな感じの公演、音楽を作りたい。

 

 

すごい音楽の公演、作るんよな?

 えーっと……

 

 

ごめんなさい、正直…わからないです!!!

 

 

「音楽を使った謎メイン!!」で作ると、主役が音楽になってしまって、それは僕が求める音楽の体験ではないな、とか

 

「音楽に力入れた公演作る!」ってやると僕がDになるので、僕が好きな音楽を作るキャパがないな、とか

 

「○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○」ってやるのは現実的じゃないな*38、とか

 

やりたいこととできることの間の障壁が大きすぎて、作りたいけど、作れないかもな…と思っています。*39

 

 

ただ、いろんなことを考えてはいるので

 

①いい感じに長い製作期間で、

②僕がDになって

③音楽が流せる方式

 

の条件が揃ったときは

 

制作陣の皆さん、覚悟してね!

遊びに来る皆さん、この文章のことは忘れてね!!

 

そんなところです。

 

明日はサイコパスと噂の有機さんです*40

これからずっと読む側!楽しみだなぁ・・・

 

 

 

 

*1:どの時間帯でも使えるあいさつに迷ったけど僕は初めてなのでこの挨拶が使える、勝ち

*2:脚注は大した内容無いから追わなくていいです

*3:やったねトップバッターだよ

*4:名前の由来については諸説

*5:これやってみたかった

*6:この文の主体のことを考えると朝も昼までしか眠れないです、生活リズムが崩壊してるので。

*7:すげえ方は某たんじです、すげえ絵を描いてた

*8:広辞苑には「人々が互いにかかわり合って生きて暮らしていく場。世間。社会」ってあります。多分音楽が好きな「この世のもの"ではない"もの」もいると思うのですが、今回は広辞苑的な意味でとります

*9:音楽の定義、調べると楽しい

*10:like的な意味で

*11:小学生が「みんな持ってるもん!」っていうときのみんな、4.5人がち

*12:要出典

*13:要出典

*14:同じネタを二度使うな

*15:露骨な教養アピール

*16:一つでもうれしいんじゃないかって?運転免許試験みたいなことするな

*17:こんな感じで

*18:脚注で遊ぶのが楽しそうだったから参加したまである

*19:ここ過去形

*20:死生観の話はしません

*21:ああああああアソビ要素がああああ

*22:ふざけた脚注のところはふざけてるのでそんな感じで

*23:僕は9trainの「待ち時間で」めっちゃ音楽聞いてましたが、そういうのは例外

*24:この感覚が一般的なものなのかは自信がない

*25:教えろ!ツイートしろ!!!!!

*26:4/4、3/4などの一般的な拍子ではない拍子のこと。take fiveやMIPのテーマのように5拍子(3+2とか2+3)が多く、変わり種として現代音楽で使われたりする。ミセスのPRESENTみたいにやばいやつも多い

*27:既存の形にとらわれずに新しい形の音楽を探していく試みはめちゃくちゃ面白いけど、結局聞き心地を犠牲にしてしまって世間に受け入れられないことが多い。って考えるとさっき挙げた例とか、あと米津玄師とかは相当すげえ

*28:欧州はファンタジーですか?知らん

*29:この世界にポニョがいないとは言い切れないのでこんな言い方をしました

*30:あとね、話の流れやセリフや人の動きと音楽があってるやつはすごい好き、トムとジェリーとか見るとほんとにわくわくする

*31:関ジャムはいい番組、どれみふぁワンダーランドはもっといい番組だった……

*32:個人的には嫌いです!!!下品なので!!!!

*33:大好き。断じて「ゆ」の影響ではない

*34:僕には才能がないのですが、音楽について全く勉強していない人間がヒアリングしただけでそれを言ったのであれば天才だな、と思った

*35:古参アピですか?

*36:サントラとしては売れてる方のやつはありましたが、本家BDを抜くみたいなことはなかったし、多分今後も難しい気がする

*37:実話

*38:ギリギリ現実的かもしれないから隠した

*39:この記事書いている間一人ブレストし続けたけどきつい、、ってレベル

*40:僕はサイコパスじゃないです