AnotherVision Countdown Calendar 2020

AnotherVisionメンバーによる"Countdown Calendar"を2020年もお届けします

個人的にはかなり重要な話

 どうも、7期のEddieです。

 

 2020年も残す所あと2日となりました。今年はいろいろと大変な1年でしたね。来年はすこしでも明るいニュースが増えてほしいなと思います。

 

 自分について少しだけ述べておくと、Eddie(エディ)というハンドルネームは本名の「井手 (ide)」から来ています。下の名前は「那幹(なみき)」といってこれをそのままハンドルネームにしてもよかったのですが、よく考えた結果、よした方がいいだろうということでやめました。しかしEddieというハンドルネームもまた、ちょっと気取っているみたいでこのごろは恥ずかしく感じます。次は「出井(いでい)」くらいの慎ましい名前にしようかな。あるいはいっそ「画狂老人卍(がきょうろうじん・まんじ)」みたいな突き抜けた名前でもいいかもしれない。

 

 アナザービジョンでは主にテキストを書く仕事をしています。謎解きのテキストは好き勝手に書くと怒られるので、指示に忠実に書くことが基本です。でもこのアドベントカレンダーには何でも好きに書いていいとのことなので、かなりのびのびと書いています。しかし役に立つことは一つも書いていません。これは本当に。ですからあんまり真剣に読まないでください。読まないか。

 

 

<目次>

 

*個々の話はつながっていないので、どれから読んでいただいても問題ないです。しかしどれから読もうとあなたは賢くなりません。

*文章が長いのでスマホだと少し読みにくいかもしれません。でも別に読まなくてもいいので大丈夫です。

 

 

◆新生児を抱くことについて【約6500字】

 夏の終わりごろ、僕は自分に何か買ってあげようと思いました。

 

 そう言うと、自分の誕生日でもあったのか、3キロのダイエットに成功した自分へのご褒美か、あるいは理不尽な理由で先輩に怒られたストレスを発散しようとしたのか、そういう何か特別な理由がありそうに聞こえるでしょう?僕もそう聞こえる。でもそうではなくて、単純にお金に余裕があったからです。今年の夏はやけにお金のかからない夏でした。コロナのせいで友達と会ったりお出かけしたりということが少なく、家で本を読んだり近所を散歩したりすることが多かった。こういうお手頃な過ごし方はときどき退屈にも感じるけれど、基本的にはのんびりしていていいですよ。無駄に疲れるということがない。人恋しくなったらたまに友達とご飯を食べに行く。人恋しいと言っても寮にも実家にも誰かしら人はいるんですけどね(僕は東京の寮の狭い一室に暮らし、夏の一時期を福岡の実家で過ごした)。人付き合いと休息と労働のバランスを多少調節すれば、お金を使わなくても意外といい夏を送れます。(労働を減らすのがコツ!)

 

 まあそういうわけで、僕はお金に余裕があったので自分に何か買ってあげようと思いました。アイデアは3つ。

 

(案1)ニンテンドースイッチ本体およびそのゲームソフト

 僕は昔からゲームが好きなんですけど、この頃はPS4モンスターハンターをほとんどやり尽くして暇になっていました。やり尽くしたというよりはある種の限界点に達していたのが本当のところで、要するにモンハンをプレイすることで得られる効用が逓減してきたから、僕には新しいゲームが必要だったのです。「どうぶつの森」や「ポケモン」みたいなゲームが。しかし一方で、授業が始まると結局忙しくなってゲーム機を起動しなくなるというのもありそうな結末です。これらを天秤にかけた結果、やはり後者の方が重そうだということでこの案は棄却しました。僕が週5コマくらいのスカスカの時間割を組めばゲーム三昧できるんでしょうけど、あまり望ましいことではないものな。

 

(案2)ちょっといい中華鍋

 これは全然ふざけているわけではなくて、至ってまともな案ですよ。というのもこの時期の僕は至高のチャーハンを作り上げることに取り憑かれていて(まともではない)、そういう人にとって中華鍋を買おうというのはごく自然な考えじゃないですか。強い火力と格闘しながら中華鍋を振る男ほど絵になる男はなかなかいないですからね、そういう絵になる男を目指そうとする時期は誰にだってあります。それが僕の場合、たまたま2020年の9月だったというだけのことです。しかし結局は寮母さんに怒られそうだと思ったのでこの案も諦めました。(現在寮母さんは退職されて、代わりに寮父さんがいる。)

 

(案3)漫画『かぐや様は告らせたい』全巻

 AmazonPrimeでアニメ版を視聴して僕は『かぐや様』を気に入りました。続きが気になって漫画を調べると、全19冊で合計11,286円とそれほど高くもない(20巻が発売されたのは11月)。ほかに欲しいものも思いつかなかったし、漫画を全巻買うということになんだかわくわくしたので、今回はこの案を採用しました。

 

 はい、そういうことで、夏の終わりに僕は『かぐや様』を全巻買うことにしました。

 

 別に通販で買っても問題はないんですけど、僕は本屋というものが好きですし、配達を待つのも面倒だったから、吉祥寺のジュンク堂で買うことにしました。ジュンク堂吉祥寺店はコピス吉祥寺というショッピングセンターの6階と7階に入っていて、漫画コーナーはエスカレーターで6階に上がって左奥に進んだところにあります。フロアマップを確認すればよくわかるんですけど、漫画は長崎の出島のような隔離された区画に押し込まれていて、やや不憫であるといつも思います。

 

 目的の品は、ヤングジャンプの棚の1番目立つところにありました。しかしいざ現物を見て思い至ったのですが、『かぐや様』をレジに持っていくというのはなかなか恥ずかしい行為ですね。もちろんそれは、『かぐや様』を買うのが電車内で通話するみたいに反社会的行為だと言いたいわけではなくて(『かぐや様』を買うことが周りの人たちの不快を大きく増幅させるとは考えがたい)、あくまで個人的文脈においての話です。いったいどういう事情で恥ずかしいのか、あまり意味もないけど述べます。聞かなくてもいいですけど。

 

恥ずかしい理由(1):表紙がかわいい

 僕が普段買う本と言えばたいていは小説か、新書か、あるいは参考書の類で、そういった本はシックで落ち着いたたたずまいをしています。私を読め、君はまた賢くなる、そういうある種の説得力が漂っていて安心感がある。こういう本は臆することなく堂々と買うことが出来ます。

 

 漫画に限った話をすれば、僕が昔買っていたのは『こち亀』や『遊戯王R』(付録のカード「冥府の使者ゴーズ」は強力で、これが欲しかった)などで、表紙を飾るのは基本的に「野郎」でした。いかにも男臭い表紙。そこには「説得力」の欠片も無い。しかしこういう本は保守的な男子にも優しいデザインで、とても買いやすいです。

 

 対して『かぐや様』の表紙を見ると、そこにいるのはキュート・ガールなんです。見慣れた毛むくじゃらの中年でもなければ、やたらトゲトゲしい髪形をした決闘者(デュエリスト)でもない。高校の制服を着て、高校生らしからぬ髪色をした、キュートなガールがそこにいる。そういうキュートなものを買うのは、保守的な男性にとっては後ろめたいものであったりします。

 

 近年は、旧来的ジェンダー規範に対する懐疑が広まり、伝統的な男性像・女性像が相対化されつつありますが、僕もそういった流れについては原則的に賛同します。僕は決して他人の趣味や考え方について、男なら、女なら、とあれこれ文句を言う人間ではないし、言いたいことがあるわけでもないです。しかし自分のことに限っては、男ならこうあるべきだ、と思っています。要するに、パンケーキよりも焼肉を愛し、チャラチャラすることを嫌い、涙は見せず、かわいいものに執着しない(猫はいい)、そういう男であるべきだと思っています(とりたてて言うほどでもないな)。もちろんこれは一つの指針であって、ここから外れることがあるのは当然で、たまにはパンケーキも食べるし、まれに涙も見せる。しかし基本的に、僕はそういう男です。

 

 その方針に従ってこれまで僕はかわいいもの、特に2次元的にかわいいものとは意識的に一定の距離を保って生きてきました。女の子のイラストと僕というのは基本的に親和性の低い組み合わせで(井手と言えば二次元美少女!なんて思われていたらけっこうショックだ)、例えるならそれは日本のお葬式とダブル・チーズ・バーガーくらいのミスマッチなのです。

 

 そういうわけで、キュート・ガールが表紙をかざる本というのは非常に買いづらい。

 

恥ずかしい理由(2):「知的さ」が足りない

 僕は変にプライドの高い人間で、知的であること、知的な自分を演じること、そうでなければ時々はただならぬ天才感を放つこと、これを大切にしています。僕なりの「知的」というのは、大人っぽくて思考的で、かつクールであること、大体そんな感じです(大人っぽいとはなんなのか? 思考的とはなんなのか? クールとはなんなのか? なんだっていいじゃないか)。こういう基準のもとに、僕は(人前では)できるだけ知的なものを摂取し、知的でないものを摂取しないようにして生きています(ただしこれは都合よく解釈されることもある)。

 

 それでですねー、あまりこういうことは言わない方がいいと思うんですが、暴力的で偏見的な言い方をすれば、ラブコメ漫画が知的な本だとは思えないんですよ。いえもちろん、ラブコメ漫画に知的さがないと言っているわけではありません。たくさんあるのかもしれないし、ちょっとあるのかもしれないし、ないのかもしれない。作品によって様々だと思いますし、それは小説だろうが科学雑誌だろうが同じことです。

 

 しかしラブコメ漫画というジャンルへの第一印象として、それは知的な本だとは思えないのです。ラブコメ漫画の性質を考えるとき、そこにあえて「知的」というラベルを大きく貼るようなことはあまりしないんじゃないでしょうか。丹念に読み解いていけばラブコメ漫画が信じられないほど知的な本であるとしても、「笑いつつキュンキュンする本」という一般的認識は大きく変わらないはずです。世間一般の評価が「ラブコメ漫画?ああ、あれめっちゃ知的だよね。あれ読んでる人は絶対知的」となることはありません。例えば豚肉がどれだけ良質なビタミンを含んでいても、とんかつが健康食品だとは思われないように。僕が言う「ラブコメ漫画が知的な本だとは思えない」とはそういうことです。

 

 それで、これは本当にただの個人的悪口ですが、ラブコメ漫画は知的でない(ゼロ)というより、(僕にとって)若干マイナス寄りだと思ってしまうんです。別にラブもコメディーも漫画も「知的さ」を損なう要素ではないんですが、ラブとコメディーと漫画が合わさると、急激に軽薄さを感じてしまうのです。これはもう、どうしようもなくそう感じてしまう。実際にどの作品を読むとか読まないとかではなくて、総体としてのラブコメ漫画から薄っぺらい印象をぬぐい切れない。僕が『かぐや様』を好きとか、実は『五等分の花嫁』も観たとか、そういう話ではありません。ごめんさない。ラブコメ漫画を読んでいる人がどうとかいうことでもありません。ただ、同じ愛の物語でもスタンダールの『赤と黒』ではなくラブコメ漫画を読む自分というのがどこか許せない。そういう自意識過剰的な心配が恥ずかしさの正体その2です。

 

恥ずかしい理由(3):オタクっぽさ

 オタクは2種類存在します。オープンオタクと隠れオタク。つまりオタクであることを公言する者と、密かにオタク趣味を追求するものです。別に僕はこれと言ったオタク趣味を持っていないんですけど、気持ちとしては常に隠れオタクの味方です。漫画やアニメ、ラノベを嗜好することは、誰かに咎められることはなくとも謎の後ろめたさが付きまとう。だからこそ僕はそれらとの距離感に対して敏感に生きてきました。近づきすぎると脳から「おい、それ以上漫画に触れると危ないぜ!」という電気信号が発せられ、僕は有能な武将が敵の深追いを自重するがごとく漫画から離れるわけです。とりわけキュート・ガールから。

 

 故に『かぐや』様を全巻購入するというのは、僕にとってかなり挑戦的な行為であると言えます。僕は周りの客からとんでもないオタクだと思われるのではないか。レジの店員だってもしかしたらオタク趣味に否定的な人間で、「あんたみたいなパッとしない男子大学生が女の子の絵を見てニヤニヤしてるのって、正直ねえ?」なんて思うのかもしれない。ラブコメ漫画を19冊抱えて立っている男子大学生がオタクでないと認識される可能性は、基本的にかなり低い。

 

 僕はオタク趣味的に『かぐや様』を買うわけじゃなくて、あくまで漫画を読む平均的若者として買うだけなんですけど(もしかしてオタク趣味を否定するほど逆説的にオタク感が増すのではないか)、外から見ればそんなことはいちいち区別出来ません。あるいはこれまで無数の客を見てきた熟練の店員なら直感的にわかるのでしょうか。こいつはオタクじゃない、と。しかしあまり期待しない方がいいですね。そんな店員はいません。

 

 まあとにかく、この拭いきれないオタク感が恥ずかしい理由その3です。

 

恥ずかしい理由4:九州男児

 これが最後にして最大の懸念材料なんですが、僕は九州男児という逃れようのない業を背負って生きています。逃れようのないと言うからには、それは逃れようのないもので、九州に育った男は皆、己の意思に関わらず九州男児として生きていかなければなりません。そして九州男児には実は明確なルールが存在していて、広辞苑第9版にはそれが明確に記されています。

 

九州男児

九州地方に生まれ育った男子の称。荒々しいところがあるが、生一本で情熱的な人が多いとされる。ラブコメ漫画を読んではならない

 

 そう、九州男児はラブコメ漫画を読んではなりません。九州男児は皆、10歳の誕生日を迎えた日に父親からこの掟を知らされます。強く生きろ、誰かを守れる男になれ、ラブコメ漫画は読むな。九州男児は常に硬派であること求められるのです。つまり僕が『かぐや様』を買うというのは、九州男児としての倫理に反する恥ずべき行為なんです。

 

 しかしこれは、もちろん嘘です。広辞苑第9版はまだ発売されていません。(恥ずかしい理由おわり)

  

 さて、かなりの時間を無駄にして『かぐや様』を買うのが恥ずかしい理由を書きましたが、ジュンク堂吉祥寺店の漫画コーナー、ヤングジャンプの棚の前にいる僕にとっては刹那の思考です。いくら恥ずかしいと言ったって赤面するほどのことじゃないから、僕はこのまま買うつもりでいます。

 

 しかしながらまったくの無防備で行くのはいやだから、僕は一度コミックコーナーを離れ、新書コーナーで1冊、文芸コーナーでまた1冊を手に取りました。『日本近代小説史』と『新潮日本古典集成 竹取物語』という、知的な2冊です。いくぶん焼け石に水的補強ではありますが、こういうのがあると少しだけ心強い。若いチームには経験豊富なベテランが必要です。

 

 ところで皆さんは、書店で21冊の本を一度に抱えたことがあるでしょうか。これはなかなかスリリングな行為です。かごに入れてレジへもっていく前にどうしてもやってみたくなったので、僕は21冊の本を縦に積み重ねてみました。周りに人のいないところで。

 

日本近代小説史

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい

かぐや様は告らせたい10

かぐや様は告らせたい11

かぐや様は告らせたい12

かぐや様は告らせたい13

かぐや様は告らせたい14

かぐや様は告らせたい15

かぐや様は告らせたい16

かぐや様は告らせたい17

かぐや様は告らせたい18

かぐや様は告らせたい19

新潮日本古典集成 竹取物語

 

 どうですか、この圧倒的な厚みは。日本の学生支援もこれくらい分厚かったらいいのに、と思わず口に出してしまいそうなこの厚さ。

 

 積み重ねた順番にも少しだけ気を配っています。いわゆる「サンドイッチ」。サンドイッチとは、何となく恥ずかしいもの・後ろめたいものを購入する際、その商品を別の商品で上下に挟み込むことで、レジの人にその商品から注意を逸らすという手法のことです。要するに元気なおじさんがAV(AnotherVisionではない)を借りるときに、それを「ショーシャンクの空に」と「タイタニック」の間に挟むという、あれです。本当にやってるおじさんがいるのか知りませんが、こういうのは逆効果でしょうね。最近はセルフレジが増えているようで、そういう心配もないのかもしれませんが。まあ僕もせっかく本を重ねるならということで、今回はこの作法を踏襲してみたわけです。風流のために。

 

 倒れないよう注意しながらそっと持ち上げてみると、思いのほか安定していて、このままレジに持って行くこともできそうな感じです。高さは僕の腰から胸くらいまであって、ずっしりとした重みがある。これはなんだか、新生児を抱いているみたいな気分だ! というわけで、今日の教訓はこれ。21冊の本を積み重ねてもつと、新生児を抱くような気分になれる。

 

 さて、本はかごにいれて、素直にレジに行こう。そんなこんなで、僕は『かぐや様』全巻とその他2冊を購入しました。

 

《参考》

・『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦 11』より第110話「石上優は語りたい」

・『こちら葛飾区亀有公園前派出所 184』より第1話「両津さんにおすすめします」

 

 

総合的な咀嚼としてのステーキ味【約1200字】

 僕はポテトチップスが好きです。じゃがいもを薄切りにし、油で揚げ、そこに味をつけるだけというシンプルさがいい。ポテトチップスを1枚手に取れば、それがどのようにして作られたのかがわかる。グミやチョコレートと違って、知識や想像力というものをあまり必要としない。

 

 しかし中には理解に苦しむポテトチップスも多い。例えばステーキ味や鶏モツ煮味、焼餃子味のポテトチップスがそれである。これらの商品に、僕はいろいろと疑問を抱いている。

 

 第一に、食べてみても正直それがステーキ味なのかよくわからないし、そもそも僕は「ステーキ味」なるものの存在にどうも納得がいかない。ステーキの味とは、お肉の味、塩コショウの味、ステーキソースの味を舌で同時に知覚することで出現する、いわば総合的な咀嚼としての味であって、「ステーキ味」というものが1個の味として独立して存在するわけではないと僕は思うのである。だからポテトチップス・ステーキ味というのが原理的に間違っているという気がしてならない。もしメーカーが僕の言うステーキの味をポテトチップスで再現しようとしているなら、それは「ポテトチップス・総合的な咀嚼としてのステーキ味」と名付けるべきではないか。いくぶんまずそうではあるけれども。

 

 「ステーキ味」か「総合的な咀嚼としてのステーキ味」かはさておき、ステーキの味をメーカーはどうやって再現しているのか、ということも僕にはよくわからない。例えばビーフステーキの塩味やら酸味やら甘みやらを機械で測定して数値化し、それを科学調味料で再現したパウダーを揚げたじゃがいもにまぶしているのだろうか。あるいは冷凍したビーフステーキをガリガリ削って粉にして、それをそのままじゃがいもに振りかけているのか。どちらにせよ、僕はそういうのがあまり健全な調理だという気はしない。

 

 だいたい、ポテトチップスはじゃがいもが主役なのだからじゃがいもを楽しむべきである。言い換えれば、ポテトチップスの味は原則的にじゃがいもにつけることのできる味にしたほうがよい。ポテトチップスにはうすしお味や、しょうゆ味や、バター味など色々あるが、どれもじゃがいもにかけたって成り立つ味である。しかしステーキ味というのは明らかにおかしいだろう。じゃがいもにステーキをかけたって、それはじゃがいもとステーキである。ステーキ味のじゃがいもにはならないし、そうする必要性も感じられない。じゃがいもはじゃがいも、ステーキはステーキで食べるべきである。

 

 まあそういうわけで、この手の味のポテトチップスを自分で買って食べようとは思わない。しかしお菓子会社に入ってこういう味を考えるのは、なかなか楽しそうな気もする。もしそうなったら、僕は「ポテトチップス・総合的な咀嚼としてのかつ丼味」とか「総合的な咀嚼としてのお寿司味」なんかを提案したいと思う。

 

 

シュレディンガーの猫について【約1400字】

 物理学の中でも量子力学と呼ばれる分野に「シュレディンガーの猫」という思考実験がある。シュレディンガーさんが考えたからシュレディンガーの猫と言う。僕にとっての物理学は等加速度運動を学んで以来ピタリと静止しているから、僕に量子力学の解説なんて土台無理な話なんだけど、いちおう受け売り的に説明すると次のような実験らしい。

 

 まず中の見えない密封できる箱を用意する。その中に、

 

・1時間あたりに50%の確率で崩壊する放射性元素

放射線を観測する機械(これを仮にタカシ君と呼ぶ)

・タカシ君が放射線を観測すると毒ガスを出す機械

・生きた猫

 

を入れる。それから1時間が経つと、箱の中の状態として次の2つが考えられる。

 

(A)50%の確率で原子が崩壊し、放射線を出す

   =毒ガスが出て、猫は死んでいる

(B)50%の確率で原子は崩壊せず、放射線を出さない

   =毒ガスが出ず、猫は生きている、

 

 普通に考えれば、そのどちらであるかは箱を開ける前から決まっているわけだ。生きた猫と死んだ猫、その一方が箱の中にいる。

 

 しかし量子力学者はそのように考えない。彼らは開ける前(=観測する前)の箱の中の状態を次のように考える。

 

(C)原子は、放射線を「放出する状態」と「放出しない状態」が重なり合っている

   =「生きた猫」と「死んだ猫」という状態が重なり合っている。

    そして観測したときに、一つの状態に収束する

 

 要するにこの実験は「ミクロの世界の状態は、いくつかの状態の重なりによって表され、観測されたときには1つの状態に定まっている」(コペンハーゲン解釈)という量子力学の考え方を、猫を使って説明しているわけだ。

 

 しかしもともとは、「あんたたちの考え方(箱の中の原子の状態は、放出する状態と放出しない状態が重なり合っている)に従うと、猫が生きてる状態と死んでる状態が重なることになるんだけど、これはおかしいじゃないか」ってことで量子力学を批判するのがシュレディンガーの目的であった。そりゃそうだよね、猫が生きてる状態と死んでる状態が重なり合っているなんて納得いかないもの。箱の中の猫は、生きているか死んでいるかの二者択一であることは、見なくたって当たり前のことだ。とはいえ状態の重なりを仮定したところで、それが間違っていると証明することもできないんだとか。

 

 とにかくまあ僕にはよくわからないのだけど、これは色々とややこしい問題らしい。量子力学者というのはヘンなことを考える人たちである。僕からすれば箱の中の状態というのはどうだってよくて、50%の確率で猫が死んじゃうことのほうが大問題である。いくら思考実験と言ったって、頭の中で無実の猫を殺すのは快いことではない。そこのところ、学者さんたちにはしっかりしてほしいものである。

 

 ところで僕が住んでいる寮には、寮生が共同で利用する洗濯機が各階1つずつ置いてある。古いタテ型洗濯機で、すすぎの回数も脱水の時間も調整できない。おまけに150円入れないと作動しないという、かなり不親切な設計である。確認窓もついていないから蓋を開くまで中の様子を知ることはできないわけだが、いざ僕が洗濯しようと蓋を開けたらだいたい2回に1回は前の人の洗濯物が残っていて、なんだこのけしからんやつは、と思うことになる。それでこのけしからんやつを、僕は「シュレディンガーの洗濯物」と呼んでいる。

 

コンプラしくはっく【約650字】

 「告白しくはっく」の制作の四苦八苦の告白、というフレーズが使いたくてそういう記事を書こうかと思ったのですが、さすがにコンプラ的な問題があるのでここに載せることができません。

 

 コンプラ意識の低い人間が僕は許せません。「こういう発言がダメだと知らなかった」で許される問題ではないですからね。ですからちゃんとコンプラについてみなさん勉強しましょう。アナビの一員としてだけでなく、社会人として必要なことです。

 

○制作人のみなさんへ

 ウラドオリを作ったときもこういうことをした(させられた)んですが、今回は自主的に皆さんにスーパーショートメッセージを残しておきます。ほんとは皆さんに感謝の言葉を述べたいくらいですが、人が多くて大変なので、最初から参加していた人にだけで。すみません。

 

らいあ:2013日本シリーズで野球にはまったのに横浜と檻が好きなんて変だね。

yash:多忙すぎるのはあんまりよくないよ、肌に。

KSK:『告白しくはっく』って略すとKSKだよね。

いろは:いろはの関西弁的イントネーション、すごくいいよね。

神楽:神楽が出す適当な意見、おれは好きだよ。

木野市:漫画を描くというのは、偉大なことです。まじで。

ジオン:Callasをカラスって読むこと、ぼく実は最近知った。

粗茶:謎の解き方と今後の世界情勢について教えてください。

だしゃ:昔、寝てるだしゃの口にスプーン突っ込んでごめんね。

なーはー:いやー本当にありがとうございました!団長!

むぃ:むぃさんの本名が呼ばれると、僕は少し反応してしまう。

ロトポン:未能事人、焉能事鬼。未知生、焉知死。

 

お疲れさまでした。

 

◆おわりに

 全部読んでくださったのか、とりあえず下までスクロールしてみたのかよくわからないですが(後者が多いか、そもそもこれを読んでいる人がいるのか)、くどくどと続く記事に目を通していただいたみなさん、ありがとうございました。そしてアドベントカレンダーを企画・統括してくれたえっふぃくん、本当にありがとうございました。ではみなさん、よいお年を。

 

(7期:Eddie)

浪人中に描いたマンガを清書しました。

【描いたマンガに飛ぶリンクが記事の一番最後にあります。僕の自分語りに興味がない人はマンガだけ読んでいってください】

 

 

 

 

色々あった2020年も、もう終わってしまいますね。

 

ところでみなさん、クリスマスイブはいかがお過ごしでしたか?

 

 

……そんな目で睨まないでください。

 

 

 

 

申し遅れました、AnotherVision6期のチロルです。

 

 

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チロルチョコはママの味

 

 

そんな僕はクリスマスイブ、AnotherVisionの会議に出席してました。一番偉い。

 

 

 

 

僕はこれまでAnotherVisionの謎解き制作に何度か参加してきました。(トライズ、近見知新聞などなど、外部依頼のものもそこそこ)

 

ですが、謎解き経験はおそらくメンバーの中でleast。公演は5回くらいしか行ってない。

 

もうAnotherVision入って3年になるんですけどね〜。アハハハハ。

 

 

……そんな目で睨まないでください。

 

 

 

 

こんな不心得者が長らくAnotherVisionで楽しく活動できているのはなぜか。

 

これはひとえに多様性を認めるメンバーの寛大な心があってこそなんですが、こと謎解き制作に関して言えば、僕がデザイン(とりわけイラスト)を作るのが好きだからだと思います。

 

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いつか描いたイラスト。

 

制作も大半はメインデザイナー、デザイナーとして参加していました。

 

AnotherVisionは謎解きができなくても居場所がある素晴らしいサークルです。

 

謎解き自体がそんなにできない人も、謎解きを使ってやりたいことがあれば気兼ねなく入ってみてください。(唐突な宣伝)(ちなみに東大生じゃなくても入れます)

 

 

 

 

今回の記事も最初はイラスト披露会みたいな感じにしようかと考えてたんですが、僕が描いたイラストを紹介する記事ってめちゃくちゃつまんないなと正気になってやめました。

 

そこで、代わりに僕が描いたマンガを載せることにします。

 

ただのイラストより、物語がある方が、みなさん楽しんで読んでいただけますよね???

 

1から話を作るのはしんどかったので、過去に描いたネーム(雑な下書き)を使っています。ただ、それを一部修正し、ペン入れまでしたので、結局大変でした。ぴえん。

 

 

 

 

今回載せるマンガは「クリスマスイブに今夜も2人」

 

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みなさんがクリスマスイブをいかがお過ごししたかは知りませんが、このマンガに登場する2人は、アパートの1室で、男女で、楽しそうに歓談しています。

 

 

これ描いたのは浪人期のクリスマスでしたね(遠い目)。

 

これを描いたときの僕の心境に思いを馳せながら読んでいただけますと幸いです。

 

note.com

 

それでは良いお年を。

自分らしく生きたいんだ!

皆さんこんにちは!

AnotherVision 6期のてるてるです。

初めましての人も、名前くらいは知ってるって人もいると思うので、

ここで少し自己紹介を。

 

【名前】てるてる

大好きなバンド「amazarashi*1」のてるてる坊主のキャラクターが由来

 

【期】6期

 

【所属】大学名書いても誰も分からないような保健医療福祉の単科大*2の3年

 

【制作経験】

君と魔法の懐中時計、Xワード、沼ハマ、東大ナゾトレ10巻最終問題 など

 

 

特に変わったプロフィールはないので、

さっそく本題に入ります!

 

が、

 

先に言っておきます。

  1. この記事は3000字を超えていてとても長いです。
  2. 自分のことについて語るだけです。
  3. カミングアウトをします。
  4. 面白さは一切ありません。

そして投稿するのがとても怖いです…

投稿日が迫って突然この記事をあげることが不安になりました。

見られるの怖いから自分に興味ない人はぜひここで引き返してって言いたい…

いやでも自分で自分を楽にするために書こうと決めたんだ。*3

 

 

それでも読んでくれる方は下へスクロールしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

今度こそ本題に入ります!

ブログのタイトルは

【自分らしく生きたいんだ!】

 

これについて書くうえで中心となるのが、自分自身のセクシュアリティなのですが、

 

最近はLGBTとか、ジェンダーレスという言葉を耳にする機会が多くなりました。

これらを語るうえでよく使われる言葉の中に、

身体的性・性自認・性表現 のようなものがあります。

 

ちなみに自分*4の場合は、

身体的性→女性

性自認→女性

性表現→男性*5  となるのですが、

 

難しく感じる方もいると思うので、これらを自分の言葉で言うと、

 

「自分は女として生まれたし、自分は女って認識してるよ。

 でもメンズ服が好きだし着たいの。

 女らしい身体付きは嫌だし、可愛くなりたいとは思わない。

 自分はただただかっこよくなりたい! イケメンになりたい!!」

 

って感じで簡単なことなんですw

 

今の自分*6は、髪はメンズカット、*7服はほとんどメンズもの。*8

大好きなシルバーアクセサリー*9をいっぱい着けて、基本的にメイクはなし。*10

 

そのスタイルが〈自分らしい〉と思うし、落ち着くし、

何よりも好きだからこうしています。

 

自分はファッションが大好きなのですが、 

*11から体型やファッションの好みについて違和感を感じることが多くありました。

いいなと思う服がメンズ服だったり、男子の制服が羨ましいなと思ったり。*12

 

大学に入ってからは毎日私服で過ごすようになり、

周りがいかにも女子大生という感じの女子ばかりで、

今まで自分が好きで着ていた服では凄く浮いていると感じるようになりました。

そして周り同じようにしようと自分の好きを抑えて、

スカートを履いたり、女の子らしいアイテムを着るようになりました。

 

そんな時、LGBTについて触れているある学園ドラマ*13を見て、

「やっぱり自分も好きなように、〈自分らしく〉生きたい。」と強く思うようになり、

悩んだ末に今の生き方を選び、成人式を終えたタイミング*14でメンズカットにして、かっこよくなる努力*15をするようになりました。

 

これを読んだだけでは、

ただ自分の好きなファッションをするって何も難しいことじゃないし、

生き方だなんてそんな大袈裟な言い方する程のことじゃないでしょ、

って思う方もいると思います。

 

でも、ある日を境にバッサリと髪をメンズカットにしてイメチェンすることは、

カミングアウトに近い行為だと自分は感じていました。*16

それによって人からの見る目が変わるかもしれない。

今まで仲良かった人から距離を置かれないか、変に気を遣われないか、 など

色々な不安がありました。

 

今の自分も、就活の時のスーツはどうしようか、*17卒業式の服装はどうしようか、*18

など、この生き方を選んだからこその悩みもあるし、

「身長だけが惜しい」と家族にも友人にも言われたり、

どんなにかっこよくなろうと努力しても女である事実は変わらないことを痛感したり、*19

悔しくて悲しい思いをすることも山程あります。

 

でも、自分はこの選択をして本当によかったと思っています。

 

好きな服を人目を気にせず見れること。*20

シルバーアクセサリーのお店に入れるようになったこと。*21

本当にしたかったファッションを存分に楽しめていること。

 

でもやっぱり1番は、

今の自分を褒めてくれる人がいること。

今の自分に「イケメン」と言ってくれる人がいること。*22

 

正直、

アナビの人も大学の人も困惑するだろうし、

ひかれるだろうと思ってたから。

 

1月18日 新しい自分として再出発した日。

沢山の人があのツイート*23を見てくれて、

沢山の嬉しいコメントが貰えて、

本当に本当に、涙が出るほど嬉しかった。*24

こんな自分を受け入れてくれる人も、

自分の生き方を肯定してくれる人もいるんだって思えた。

 

あの時勇気を持って決断したから、

自分は間違いなく生きやすくなったし、

今自分はとても幸せです。

 

 

まとめ

周りと同じである必要はない!

自分は自分の好きを貫いて、〈自分らしく〉生きる!

自分の生き方に共感してくれる人がいるといいな。

 

 

自分を楽にする、

自分のためのブログでしたが、

最後まで読んでいただきありがとうございました! 

 

 

 

*1:「令和二年、雨天決行」という新しいEPが出たのでぜひ聴いてください。

*2:細胞検査士っていう職業を目指してます。

*3:今までは少し濁したような表現をしていたけど、隠し事をしているような気分でずっとモヤモヤしていたので、この機会を使って吐き出して楽になれたらと思い、書くことにしました。

*4:ここでの一人称は自分。普段は自分下の名前。基本的に私って言葉は面接とかでしか使いたくない。

*5:トランスヴェスタイトという呼び方があって、LGBTの一種って言われてるらしい。

*6:成人式を終えて、伸ばしていた髪をバッサリ切った今年の1/18以降。

*7:女性のショートカットとは切り方が全く違う。

*8:女の中でも背が低いからメンズ服だとサイズが合わないことも多い。悲しい。

*9:DEAL DESIGNがお気に入り。Chrome Heartsは憧れ。

*10:たまに眉を描いたりはするけど、色を足すようなメイクは一切しない。

*11:多分小学校高学年くらい。

*12:男子の制服を着ることがずっと夢だったのですが、恋モブ脱出でその夢が叶いました!本当に幸せだった!

*13:日本テレビ「俺のスカート、どこ行った?」8話。ホームページにストーリーが載っているので気になったら見てみてください。

*14:母親が成人式は女らしく華やかであることを望んでいた。

*15:ファッションの勉強、ヘアセットの練習、筋トレ、ダイエットとか。言葉遣いとか話すトーンも変わった気がする。

*16:当然そうは思わない人もいるはず。でも自分は今まで隠していた本当の自分がバレてしまうという感覚だった。

*17:大学の入学式用に買ってもらったレディースのスーツは正直着たくない。タイトだしヒール履かなくちゃだし。

*18:袴を着れるせっかくの機会ではあるけど、出来ればスーツを着たい。早めに決断出来れば就活の時も同じスーツ使えそうだな。

*19:本当は男で生まれたかったと昔からずっと思ってる。

*20:今までは店員や他の客にジロジロ見られて怖くてすぐ店を出ちゃってた。

*21:場違いな感じがして怖くてずっと入れなかった。

*22:自分にとってイケメンは最大級の褒め言葉。可愛いも嬉しいけどダントツでかっこいいの方が嬉しい。

*23:わからない人がいたら、2020/01/18 のツイートを探してみてください。リンクの貼り方が分からないのです。

*24:盛ってないよ。本当にいっぱい泣いた。

1人でたくさん謎解き公演を作った話

おはようございます。

 

AnotherVision(以下アナビ)8期のひらどん@nazotoneko)と申します。

 

 

さて、これから表題の件について話していこうと思うのですが——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1人で公演作れるわけねーだろ〇〇!!!!

 

——取り乱しましたすみません。

 

 

正確には謎解き公演の"全内容"を1人で"構想""実装"するという作業をしていました。

デバッグや運営にはどうしても人手が必要になるので)

あとはデザインや会場手配などの雑務もだいたいやってました。

 

 

そもそも自分は、アナビに入る前にKinder Collection*1(以下金これ)という謎解き制作団体を立ち上げ、代表として活動していました。

 

今回は、そんな金これ代表時代の苦労話、もとい今までに作ってきたコンテンツの話をしたいと思います。

(持論を語っても面白くならなそうだったので) 

 

作ったコンテンツ一覧 

 

 

若高祭からの挑戦状‼(2015年9月)

概要

形式:周遊型

人数:1人~

プレイ時間:約2時間

所感

記念すべき第一作目は高校3年の文化祭で作った周遊謎でした。

 

ちなみにこれ、クラスや部の出し物ではありません。

自分が独断で企画し、教頭先生に直談判して開催を認めてもらいました。

(何やっとるんやコイツ)

 

粗削りなところも多々見受けられますが、制作の喜びを感じる初の機会となりました。

 

百万石クエスト(2017年10月) 

概要

形式:ホール型

人数:1~4人

制限時間:30分

所感

(2016年の制作 どこに行った?)*2

 

記念すべき金これの旗揚げ公演。

そして旗揚げ公演にも関わらず、いきなりナゾガク2017に出展を決めました。

(どうしてこうなった)

 

前情報として、ナゾガクには謎解きの猛者や神、やべーやつらがこぞって集まるということは聞いていました。

なので、そんな百鬼夜行にも耐えられるように"謎を解く快感とは別のベクトル"から攻めることにしました。

 

具体的には物理的な小道具のギミックです。

このギミック、結構評判がよくてびっくりされる方も多かったです。

 

あとタイトルからもわかる通り、金沢らしさをふんだんに盛り込みました。

小道具も一部本物を使用していたり、着物で運営したりしていました。

 

何はともあれ、無事に旗揚げ公演を成功させることが出来ました。

 

ちなみに、この時のナゾガク公演は設営、運営、撤収等全てワンオペ*3でした。

(軽く死ねますね)

 

EGG(2018年9月)

概要

形式:ルーム型

人数:1~4人

制限時間:15分

所感

金これの2作目は、ロゴにもあしらわれている"卵"がモチーフとなっています。

これは当時見ていたアニメのOPと、遠征中に買ったとある食べ物にインスピレーションを受けたからです。

 

そして前年の学祭やナゾガクでの反省を踏まえ、"誰でも楽しめる"ことを意識して作りました。

というのも、学祭では謎解きをやったことがない、もしくは知らない人が多かったからです。

 

なのでアトラクションっぽい要素を取り入れた、ちょっと変わった公演が出来上がりました。

感想にもそんな感じのものが多くてホッとしたのを覚えています。

 

自分の中では15分公演の"金"字塔だと(勝手に)思ってます。

 

あとタイトルの読み方は「エッグ」ではなく「イージージーです。*4

ここにはこの公演に込めたメッセージがあったりなかったり。

 

余談

この公演制作時に根を詰めすぎて"回腸末端炎*5"という病気にかかり、3週間ほどおかゆ生活を余儀無くされました。

制作中の体調管理に気を付けようと思いました(盛大なフラグ)。

 

The Maze Box(2018年10月) 

概要

形式:ルーム型

人数:1~4人

制限時間:15分

所感

「ルーム型公演が作りたい!」

この公演を作った理由はこれだけです。

 

特に自分は、閉じ込められた"狭い空間の中でワイワイ"するルーム型が好きなので、そういう公演を目指して作りました。

 

また、公演中の〇〇〇〇君への反応がプレイヤーごとに結構違っていたのは面白い発見でした。

キャストとのやりとりに新たな可能性を感じた公演です。

 

金これビラ謎(2019年4月)

概要

形式:持ち帰り謎

人数:1人~

プレイ時間:約15分

所感

金これも3年目に入り、そろそろメンバーを増やしたいなあと思っていた時に考え付いたのがこの一枚謎です。

 

他の学生団体でも同様のビラは配布されていると思っていますが、これに関しては"金これでなければ成立しない"ことを強く意識しました。

 

このビラ謎、謎解き未経験の知り合いにもおおむね好評でした。

ちゃんと勧誘ビラとして機能していたかは甚だ疑問ですが。

 

余談

このビラを"ちょっと"多く刷りすぎた結果、行きつけの喫茶店やスク〇ップの中の人、果ては五月祭中のアナビのスタッフに手渡すという暴挙をしでかしました。

この場を借りて謝罪します。*6

 

社畜の沙汰も謎次第(2019年10月) 

概要

形式:ルーム型

人数:1~4人

制限時間:15分

所感

この公演はサブディレクターとして制作に関わっていました。

なのでこれが初めて監修側に回った作品です。

 

監修内容としては、後輩のアイディアを"もっとこうしたら面白くなる" という風に突き詰めていきました。

その結果、内容も難易度も"ブラック"*7な公演が誕生しました。

(どうしてこうなったpart2)

 

監修って難しいですね。

 

ちなみに、謎はほぼ作ってませんがタイトルは自分の案が採用されました。

あとキービジュアルもこだわって作りました。

 

キービジュアルに載せる情報って大事ですよね。

 

余談

この公演のデバッグをナゾガクで行った際、p◌aさんやう〇るさんに(いい意味で)ボコられました。

あと向かい側の出展スペースにも〇くさんがいました。

どちらもいい思い出です。

 

Engel Keisu!(2019年10月)

概要

形式:周遊型

人数:1人~

プレイ時間:約2時間

所感

(この公演、2018年に発表してないか?)*8

 

この公演の大枠は前年に完成していたのですが、諸事情で開催を延期した公演です。

自分にとっても苦い経験となりました。

 

閑話休題

 

さて、タイトルからもわかるようにこの公演はとあるアニメ*9の二次創作的な作品です。

 

というのも、自分は元々そのアニメが大好きでした。

それから、その大好きなアニメの聖地が金沢大学ということを知りました。

 

そしてこう思いました。

聖地巡礼しながらできる謎解き作ればいいんじゃね?」

(そうはならんやろ)*10

 

という経緯で作り始めました。

 

今までの公演は完全オリジナルだったので色々自由がききました。

一方で、この公演は元となる作品の世界観のまま作る必要がありました。

 

そんな"元ネタを尊重した"公演制作の経験で、かなり制作スキルが鍛えられたなあと今になって思います。

 

あと、ここで初めて公演中のテキストに挑戦しました。

文章を書くって難しい。

 

リゲルの箱庭(2020年2月) 

概要

形式:ホール型

人数:1~4人

制限時間:60分

所感

この公演は金これ代表時代の最後の作品です。

なので当然、めちゃくちゃ力を入れて作りました。

 

こだわりポイントは以下の3つです。

  1. 演劇と緻密にリンクした謎
  2. 今までのこだわり全部盛り
  3. "物語体験"ではなく"物語"

 

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 1. 演劇と緻密にリンクした謎

謎解き公演では、公演中に不要なものは一切ないと言われるほどあらゆる要素を使います。

逆に言えば、不要なものは排除されるべきということです。

 

なので、演劇の内容を逐一モチーフにした謎制作を行いました。

どちらかが後付けということはなく、両者ともに必然ということです。

 

そもそも演劇とのコラボを企画したきっかけは、金沢でのリ〇ル脱出ゲームのボラスタ*11でした。

金沢公演の司会を担当されていた平田さん*12劇団羅針盤*13とのコラボを提案したところ、快く引き受けてくださいました。

(その節は本当にありがとうございました)

 

演劇側から謎解き側への理解が得られた状態だったのも、このこだわりを貫けた要因だったなあと強く感じます。

 

 2. 今までのこだわり全部盛り

謎解き公演といってもその公演の"軸"は千差万別です。

普通はその軸を1つに絞って制作するのが基本かと思われます。

 

「でもそんなのつまらなくない??」

(駄目だこいつ…早くなんとかしないと…)

 

って感じで、今まで赤字で書いてきたことのエッセンスを全部ブチ込みました*14

ついでに、他の金これの公演に参加した人にしか伝わらなさそうな小ネタも散りばめました。

 

あと、22年分の自分の人生も懸けました。

 

 3. "物語体験"ではなく"物語" 

謎解き公演は往々にして"物語体験"と称されます。

ですが、 あくまでプレイヤーはその世界観に入らなければなりません。

 

なので、プレイヤーが"等身大"で参加できるような仕掛けを施しました。

"物語体験"の体験ではなく"物語"の体験です。

 

あと、謎解き公演のストーリーって"謎を解くためのストーリー"になりがちです。

 

自分は何かの作品に触れるとき、"そこから何を得られるか"を一つの指針にしています。

中身が"からっぽ"の物語を体験しても面白くないので。

 

という訳で、謎解きを抜きにしても"面白い"と思えるストーリーを丹精込めて練り上げました。

そのせいで脚本の初稿がどえらい文字数になったのはご愛嬌。

(なぜベストを尽くしたのか)

 

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という感じにとんでもない熱量を込めて作ったのがこの公演です。

そのせいで制作は壮絶を極めましたが、それに見合うだけの達成感は得られたと感じています。

 

また、金これの立ち上げ当初は"1人も参加者がいない"というのがざらでした。

それから3年、この千秋楽公演で"満席"を実現できたのは奇跡にも等しいです。

 

なんだかんだ御託を並べましたが、"誰かに自分の作品を体験してもらう"のは"至高の喜び"なんだと再確認させられました。

 

余談

この公演制作時に根を詰めすぎてB型インフルエンザにかかりました(盛大なフラグ回収)。

今度こそ制作中の体調管理に気を付けようと思いました(フラグかな?)。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

今までの制作歴をまとめたことがなかったので、この機会にと思い色々書き殴ってみました。

思ったより楽しかったです。

 

今では複数人で行うアナビの制作にも慣れてきました。

やっぱり1人では出せないアイディアがあると痛感してばかりですが。

 

そのうち自分が携わったものが世間に発表されると思うので、その時が楽しみです。

 

それでは最後に——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

個人制作団体

らどん(@radonazo86

をよろしくお願いします!

(新作もあるよ!)

 

 

 以上、今までとこれからのコンテンツの話でした。

*1:2017年7月に発足した金沢大学の謎解きサークル、スペースは必要

*2:君のような勘のいい謎クラは嫌いだよ

*3:1人で全部やること 

*4:金これでの通称は「たまご」

*5:小腸と大腸の間らへんで起こる炎症(らしい)

*6:後悔はしていない

*7:クリア率(ナゾガク): 31%、クリア率(金大祭): 0%

*8:勘のいいなzry

*9:エンジェルがビーツするやつ

*10:なっとるやろがい!!

*11:ボランティアスタッフ

*12:劇団羅針盤の代表、めちゃくちゃすごい人

*13:北陸・石川県金沢市を拠点に活動している劇団です。「笑って泣ける全力疾走エンターテインメント」をテーマに、アクション多めな空想活劇から、ちょっと静かな朗読劇、ときにはお子様向けの人形劇まで、熱い演劇作品を展開しています。(HPより引用)

*14:潜影蛇手って言え

はやくライブに行きたい

本記事はAVCC2020 12/19の二本目の記事になる予定の記事でした。

 

まずは自己紹介から

ハンドルネーム:だいち

AnotherVision6期*1

制作は最近特にやっていないような…

最近は日曜深夜の坂道バラエティーに加え火曜日深夜のバラバラ大作戦にとてもはまっています 

 

 去年は

avcc2019.hatenablog.com

一昨年は

avcc2018.hatenablog.com

 という記事を書いています。

 

さて自己紹介も終わったところで…

オンラインライブ、画期的じゃないですか

 今年はコロナ禍ということもあり、多くのライブが中止されていきました。

ただ同時にオンラインライブが開催されました。

 

全国どこからでも開始時間に一斉に見ることができる。

 会場で盛り上がることはできないけど、SNSを通じてワイワイできる。

 なによりチケット戦争が起きにくい。

 

各々アーティストが無観客ならではの演出を仕掛けているのもとても楽しみになっています。

 

例えば、九月、十月に行われたゆずのライブだと事前収録ではありますが、ライブが始まるまで会場非公開*2。ライブ中も普段ではいかないようなところに行ったり*3、ライブで一番盛り上がる「夏色」ではAR技術でピグと一緒に盛り上げてました。

 

またオンラインライブの魅力的なものは、興味があったライブも気軽に視聴することができる。

普段音楽番組でみているアーティストもライブになると雰囲気が違って見えるのもいいですよね

 

自分は7月に開催されたライブで初めて欅坂46のライブを見ました。

全力で、その姿は美しくかっこよくて、気づけばくぎ付けで、その時に思ったのはもっと早くに見たかった、出会いたかったでした*4

 

何が言いたかったのかと言いますと、オンラインライブは楽しいですし、気になったアーティストのライブを気軽に見ることができるので、

気軽に足を踏み込んでいいと思う。

 

そういえばこの記事を書いている最中にTES 20/21なるものが開催されることを知りテンション爆上げです*5

今年開催されたいくつかのオンラインライブをアーカイブ配信*6するということなのでとても楽しみです。

ただはやく会場でのライブを楽しみたいな…

 

最後に、つい最近、リトグリ芹奈さんが体調不良のため休養が発表されました。

ライブのたびに彼女の思いがあふれていて、強くも脆い部分をたくさん見てきました。

5人でのライブをとても楽しみにしているので、ゆっくりでいいんで、しっかりと元気な姿がみたいです。お大事になさってください。

 

この1年は活動再開に活動休止、ライブでの復活の度に涙を流し、休止が発表されるたびに残念な思いでいっぱいでした。

来年は笑顔であふれるといいなぁ

*1:ただただ期の学年概念を崩壊させている存在…

*2:毎回会場予測でワクワクしてました

*3:奈落とか客席、外に飛び出して横浜にある船の上でパフォーマンスしたり

*4:毎回何かに出会う旅に同じこと言っている気がする

*5:まさか開催当日になっても記事ができてないとはおもわなかったな…

*6:日向坂やリトグリも出るそうなので、ぜひ!

非デザイナー用のイラレの小技@謎解き

こんにちは!アナザービジョン5期のガトです!

アドベントカレンダーが終了したように見えてから初日である26日に記事を担当します!

今日の僕担当の記事では、謎解きでのイラストレーターというソフトの機能についての話をします。

 

自己紹介等も含めてこちらのリンクからからどうぞ !

 

g-ato.hatenablog.com